佐伯湾 艦隊大集合


1月24日、佐伯湾に護衛艦と練習艦、合わせて10隻が入港した模様を緊急レポートします。

艦隊集結の一報はメールでもたらされました。
そのメールは佐伯市在住の閲覧者の方からで、佐伯湾内に多数の艦艇がいるとのことでした。
しかもその中には「あしがら」「さわかぜ」がいるとの事で、私は「これはただ事ではない!」と直感、即刻佐伯に急行することにしました。

ちなみに、このメールを送ってくれた閲覧者の方は自宅から佐伯湾が見えるということで、艦艇が入港するとちょくちょく知らせてくれています。私にとっては、まさに「佐伯湾監視所」といったところです。いつも情報、ありがとうございます。
東九州道を突っ走って約50分、佐伯港女島埠頭に着きました。

埠頭に降り立ってビックリ!なんと、8隻もの艦艇が湾内を埋め尽くしているではありませんか。まさに大艦隊の集結と呼ぶにふさわしい光景です。
在泊艦艇は左から「ゆうぎり」「さわゆき」「やまぎり」「しまゆき」「あさぎり」「さわかぜ」「あしがら」「ちょうかい」です。
艦艇マニアにとってはシーズンオフのこの時期に、これだけの豪華な顔ぶれの艦隊が見れるとは…感激!

ふと思ったのですが、護衛艦隊旗艦にイージス艦、護衛艦、練習艦というこの顔ぶれは何つながりなのでしょうか?
左から「さわかぜ」「あしがら」「ちょうかい」です。
各艦の舷側には内火艇が横付けされています。乗組員の上陸が始まっているようです。

地元で護衛艦隊旗艦とイージス艦(しかも2隻)を見ることができるなんてとても贅沢なのですが、わがままを言えば、埠頭に接岸するとか一般公開するとかして欲しかったです…。

この3隻、私にとっては親しみのあるフネたちです。「さわかぜ」は横須賀で遊覧船から何度も撮影した艦ですし、「あしがら」「ちょうかい」は去年のイベントで楽しませてもらった艦です。友人がはるばる私の地元に遊びに来てくれたような気がします(笑)
「しまゆき」(左)「あさぎり」(右)です。

この日は1月下旬とは思えないくらい暖かな日で、天気も雲ひとつない見事な晴天だったのですが、それが落とし穴でした。
両艦の喫水線付近にご注目!海面がギザギザになっており、さらに艦の舷側が妙に高くなっているような気がしませんか…?
実はこれ、浮島現象という蜃気楼の一種で、暖かい海面上に冷たい空気があると、そこを通る光線が強く屈折して遠くの島や船舶が浮き上がって見える現象です。

この日撮影した画像は、大なり小なりこの現象の影響を受けていました↑の画像の「ちょうかい」も少し浮き上がっています。
女島埠頭を離れ、佐伯湾を取り囲む半島を海沿いに車を走らせて撮影ポイントを探しました。
約20分後、道路が山の中腹を通っている場所があったので車を停めて撮影しました。

「ゆうぎり」です。母港・大湊から佐伯まではるばるやって来たんですねぇ。ご苦労様です
山と海をバックに佇む姿はとても美しいですね。艦船模型のWLシリーズの箱絵になりそうな雰囲気です。

舷側に横付けされた内火艇に隊員が乗り移っている最中です。さらに周囲には他艦の内火艇が往来しています。
↑の画像と同じポイントで撮影した「しまゆき」(左)「あさぎり」(中)「あしがら」(右)
最新型のイージス艦と練習艦という異色の組み合わせです。

天気がいいので海がとても美しいです。大分県内でも佐伯から南の海はまさに南国の海で、その美しさは別格です。
この高さからだと浮島現象の影響はあまりなく、喫水線付近も通常通りシャープに写っています。

「あしがら」を見ると10月の観艦式、「しまゆき」を見ると4月の遠洋航海出航式を思い出します。去年は色々と楽しかったなぁ…。
「あしがら」(左)「ちょうかい」(右)
女島埠頭から見た時は、両艦はすぐ近くに停泊しているように見えたのですが、こうして見るとかなり距離をあけて停泊していたんですね。

この距離から見ても、マストの形状ヘリ格納庫の有無など、「こんごう」型と「あたご」型の違いがよく分かります。ちなみに私は「あたご」型の至る所が鋭く尖ったデザインが大好きです♪

遠くにかすかに見える島と貨物船が、浮島現象によって浮き上がっているのが分かりますか?
さらに車を走らせて、艦隊を真横に見る場所に着きました。
「さわかぜ」(手前)「さわゆき」(奥)という「さわ〜」コンビです。

「さわかぜ」のマストには三ツ星の海将旗が翻っていません。今回は護衛艦隊旗艦ではなく一護衛艦として来航しているようです。

一方、「さわゆき」は今から26年前の1984年の春、雑誌「丸」に就役直後の姿が巻頭カラーで掲載され、当時高校一年だった私がそれを見て痺れまくったという思い出の艦です。
にも関わらず、何故か私との相性は悪く、横須賀で撮影を目論んでも不在か、他艦と目刺しになってたりして、単艦で姿全体を撮影する機会に恵まれません…(涙)
「あしがら」です。ここでも乗組員が内火艇に乗り移っています。
これだけの隊員が上陸すれば、夜の佐伯の繁華街はさぞ賑わったことでしょうね。実際、佐伯の繁華街にとっては入港で上陸する海自隊員は大切なお得意様となっています。

帝国海軍時代から佐伯は重要な艦隊作業地とあって、市民は艦隊の入港をとても暖かく歓迎してくれます。
そんな事情もあって、艦隊が秘密裏に佐伯湾に集合したとしても、市役所の庁舎や商店街に「歓迎!海上自衛隊艦隊」などといった横断幕が掲げられ、艦隊の行動が思わぬ形でバレバレになるという事もあります(笑)
「ちょうかい」です。
去年、体験航海や一般公開でお客さんひとりひとりに丁寧な挨拶をしていた岩澤艦長が率いる艦です。今年もイベント等で岩澤艦長にお会いするのが楽しみです♪艦長も乗組員同様、佐伯の街に上陸しているのでしょうか?

この「ちょうかい」と「あしがら」はともに第2護衛隊群の所属で、母港も同じ佐世保ということで、同一行動をとることが多いようです。去年7月の鹿児島イベントにも一緒に参加していましたし、その2週間後にはこの佐伯湾に2隻で寄港していました。
まるで仲の良い姉妹のようです。
ちなみに、↑の3枚の画像はどのような場所から撮影したかというと、←のような険しい岩場です。

岬の突端にまで達する道はなく、道が途切れた場所に車を停め、そこからは岩場を歩いて撮影ポイントを探しました
岩が濡れているところをみると、どうやら干潮で潮が引いているようで、満潮になろうものなら私は帰り道を無くしてしまいます。これはまずい!(汗)

足早に撮影ポイントまで行こうとするのですが、足場が悪くて何度も躓いてしまいました。釣り人が数人いたのですが、カメラを手に突然現れた私を不思議そうな目で見ていました(苦笑)
満潮になると帰れなくなる危険に晒されているにも関わらず、撮影を始めると時間を忘れてしまう私。ホント、私ってマニアです…(笑)

「あしがら」や「ちょうかい」を撮影していると、沖合いから湾内に入ってくる艦の姿が…何と、「うみぎり」が入港してきました
湾内に艦艇が8隻いるだけでも壮観なのに、さらに第一線級の護衛艦が加わりました。いったい佐伯湾で何が始まるんだぁ…?

「うみぎり」はこのあと180度向きを変え、「あしがら」の真横に停泊しました。早速、内火艇が降ろされました。上陸を楽しみに待つ乗組員の歓声が聞こえてくるようでした。
「うみぎり」入港から約10分後、興奮冷めやらぬ私にさらなる衝撃が襲います。
「はまゆき」が入港してきたのです。10隻目という驚きとともに、舞鶴の地方配備艦という意外な艦の登場に二度ビックリです。

イージス艦に護衛艦、地方配備の護衛艦、練習艦というこの顔ぶれは何なんだと疑問に思ったのですが、後に1月26日から始まる対潜特別訓練に参加する7隻に、たまたま佐伯に寄港していた第1練習隊の3隻が加わって10隻になっていたということが判明しました。
それにしても五大基地以外で艦艇が一度に10隻も集まるのはこの佐伯ぐらいでしょう。すごいぞ、佐伯!
最後に10隻の艦艇を無理やり一枚に収めてみました。(このサイズだと小さすぎて艦が識別できませんが…)
左から「ゆうぎり」「さわかぜ」「さわゆき」「やまぎり」「さわゆき」「あさぎり」「うみぎり」「あしがら」「ちょうかい」「はまゆき」

気がつけば女島埠頭から車で約1時間。名も知らぬ小さな漁村の道もない岬の突端にまで来ていました。フネ好きと言えばそれまでですが、湾内を埋め尽くす大艦隊の姿は時間と場所を忘れて撮影にのめり込む程の魅力がありました

2010年初の艦艇撮影がこの大艦隊ということで、今年も私は艦艇漬けの楽しい一年になりそうな予感を感じつつ帰路につきました。

佐伯湾を埋め尽くす艦隊の姿に大興奮!2010年最初の艦艇撮影は驚きの連続でした。