制帽・帽章

陸上自衛隊と航空自衛隊では階級に関係なくほぼ同じ形の制帽・帽章なのに対して、海上自衛隊では制帽・帽章ともに幹部・海曹・海士で大きく異なるのが特徴です。これは制服についても同様で、世界各国の海軍の標準スタイルを海自も踏襲しているためです。

 帽章(幹部用)


黒色布製台地の中心に金色の錨と環を配し、その上に桜花、周囲を桜葉と桜つぼみが取り囲むデザインとなっています。旧日本海軍の士官用の帽章とよく似ており、海上自衛隊と旧海軍の繋がりを感じさせます。この帽章が採用されたのは1970(昭和45)年で、それまでは錨とカモメをあしらった海上保安庁に良く似た帽章を使用していました。
 帽章(海曹用)


黒色布製台地の中心に錨を配し、その上に桜花、周囲に桜葉と桜つぼみを配したデザインです。幹部用と比べて錨の周囲に環がなく、桜葉の量もやや少なめとなっています。錨と桜葉の表面に墨入れ加工を施したものと墨入れがないものの2タイプがあります。(写真は墨入りタイプ)
 ペンネント(海士用)


海士の制服はセーラー服で、制帽も水兵帽と呼ばれる前庇のないタイプのものです。帽章は付けず、代わりにペンネントと呼ばれる鉢巻状の帯を巻き付けます。ペンネントは帽子の前面にあたる中央部分に「第1護衛隊」や「横須賀教育隊」など所属する部隊の名称が入り、両端には錨のマークがあしらわれています。



制帽(将官用)
海将、海将補用の制帽です。海上自衛隊では2佐以上は制帽の庇に金色の桜葉模様(通称:カレーライス・スクランブルエッグ)が付きますが、将官用の制帽は「アドミラル」にふさわしく桜葉の数が1佐・2佐よりも格段に多くなっています。また、金色の顎ひもは幹部用制帽の特徴でもあります。上記写真の制帽は、帽章と庇の桜葉模様が通常のモール製ではなく、金糸による刺繍となっている高級仕立て品です。


制帽(一佐・二佐用)
1佐、2佐用の制帽です。海自では陸自・空自と異なり、庇に金色の桜葉模様(通称スクランブルエッグ)が付くのは2佐からで、3佐は尉官と同じ模様なしの制帽を着用します。これは海軍(海自)は戦闘の基本単位が艦艇であり、その艦長職を拝命する階級が2佐以上である為です。上記写真の制帽は帽章と庇の桜葉模様がモール製の通常品です。


制帽(女性幹部用)
女性幹部(3尉〜3佐)用の制帽です。男性同様、2佐以上になると庇に桜葉模様(スクランブルエッグ)が付きます。近年、海上自衛隊における女性隊員の進出は目覚しく、補給艦等の補助艦艇のみならず護衛艦にも勤務するようになりました。また幹部では初の女性艦長が誕生しています。