DDH「いせ」 神戸初寄港 |
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去年9月の呉地方隊展示訓練以来5ヶ月ぶりの神戸遠征です。 我が子のように可愛く思っている「いせ」が寄港し一般公開をするとあっては、大分でじっとしてはおられず馳せ参じた次第です。 「いせ」の神戸入港は午前8時30分頃。 私は大分駅を午前4時45分に発つ始発の特急「ソニック」に乗り、小倉で新幹線に乗り換えて午前8時20分に新神戸に着くという見事なまでの遠征プランを発動させました。ところが、夜間に保線を行った車両が線路上で故障したため山陽新幹線が一時不通になり、私の乗った「のぞみ」は山口県の厚狭駅で21分間も停車するという予想外の事態が発生しました。 新神戸駅に着いたのは午前8時40分、「いせ」は入港を始めているかもしれません…JR西日本のバカヤロー!!(涙) |
タクシーに飛び乗って神戸新港第4突堤に急行。しかし朝の通勤ラッシュでタクシーは思うように進んでくれません。 タクシーの中で「神様、どうか入港に間に合わせてください」と祈る私。その最中、私の心臓は今にも口から飛び出そうなほど激しく鼓動を続けています。目的地に早く着きたいのに中々近づけない焦り…友人の決闘に助太刀するため高田馬場まで走った堀部安兵衛の気持ちもこんな感じだったのでしょうか?(苦笑) ようやく神戸新港第4突堤の近くにまで来た時、車窓から「いせ」の巨体が見えました。「げぇぇ、やはり入港を始めてるぅぅ!!」 打ちひしがれつつも私は念じました。「『いせ』よ、停まれ!」。 |
その時、奇跡が…。「いせ」の行き足が止まったのです。 岸壁が近づいたから?曳船が準備中?否、「いせ」に私の心の叫びが届いたためでしょう。(そう信じています) その間に私は第4突堤にある神戸ポートターミナルに到着。それを見計らったかのように、「いせ」はゆっくりと岸壁に向かって歩みを再開しました。私が夢中でカメラのシャッターを切ったのは言うまでもありません。。 新幹線の不通、さらには神戸市内の渋滞に直面してほぼ絶望視していた「いせ」の神戸入港シーンを撮影できるとは…嬉しくて天にも昇る思いです。そして、ある確信が胸の中に湧いてきました。「やはり私と『いせ』は深い縁、絆で結ばれている」。 |
「いせ」は右舷側を岸壁に付けるためにゆっくりと左回頭します。この迫力のシーンを一瞬たりとも逃すまいと撮影するのですが、ポートターミナルはテラスへの立ち入りが禁止されていて、待合室からガラス越しの撮影を余儀なくされます。 ↑の画像はとても迫力あるいい絵なのですが、残念ながら「いせ」の上にガラス写った自動販売機が写り込んでしまっています。 少し落ち着いて気付いたのですが、ターミナル内に「いせ」を撮影するマニアの姿はほとんどありません。逆に制服姿の警官がうじゃうじゃいます。私の方に熱い視線を投げかけている女性がいるので「撮影している姿が格好良かったのかなぁ」などと思っていたら、その女性は私服の警官でした。何なの?この厳戒態勢は…。 |
ターミナル内が厳戒態勢でテラスでの撮影もできないので、マニアの皆様方はターミナル横にある螺旋状の道路から「いせ」を撮影しています。UW旗を掲げて入港を歓迎している人もいます。私もすかさずそこへポジションチェンジです! 平日(金曜日)の早朝にも関わらず、この場所だけでなく対岸の岸壁からも大勢のマニアが「いせ」の入港を撮影しています。 その形と大きさから海自で最も注目されている「ひゅうが」型DDHではありますが、1番艦「ひゅうが」の就役から3年近くが経ち注目度も薄れているかと思っていたのですが、いかんせんその注目度と人気は今なお健在であることを実感しました。 個人的にも「いせ」が人気を集めるのはとても嬉しいです♪ |
ターミナル横の螺旋状の道路は、「いせ」を撮影するには理想的なポジションと高さです。六甲の山々と神戸の街並みを背景に「いせ」の魅力的な姿を写真に収めることができました。カメラのファインダーに映る「いせ」の超カッコイイ姿に思わず身震いしてしまったほどです。ホント、入港に間に合って良かったです!朝4時に家を出た甲斐があったというものです。 それにしても、この角度から見る「いせ」はカッコイイですねぇ♪ 当初は奇異にさえ感じた「ひゅうが」型DDHの艦容も、見慣れたためか美しさやスタイリッシュさをも感じるようになりました。 私の場合、「いせ」に半端ない愛着と思い入れがあるのでそのように見えるのかもしれませんが…(笑) |
「いせ」の艦橋ウイング部では、当HPではすっかりお馴染みとなった「ヒゲの艦長さん」こと星山1佐が操艦にあたっています。艦長の横では船務長の大森2佐が無線で曳船に指示を出しています。さらにその横には砲雷長の外園2佐がいます。今回「いせ」には第4護衛隊司令が座乗しているので、星山艦長の後ろには4護隊司令の池田1佐が立ち、鋭い眼差しで入港作業を見守っています。 今回の神戸寄港では、星山艦長は面会や表敬訪問等の行事が詰まっているためお伺いすることができなかったのですが、入港作業終了後に私が手を振ると星山艦長もウイングから手を振り返してくれました。艦長、ありがとうございます!! |
「いせ」は無事に神戸新港第4突堤に接岸。「いせ」艦上からは入港作業時の緊張感や慌しさが消え、ホットした空気が流れています。 ポートターミナルのテラスは立ち入りが禁止されているので、ご覧のようにガランとした状態です。それにしてもこの厳戒態勢は何なんでしょうねぇ?去年9月の大阪湾展示訓練の際には「プロ市民の方々」が「いせ」の阪神基地入港を阻止したので、兵庫県警は今回もプロ市民が押し寄せて入港反対を叫ぶと予想したのかもしれません。実際にはそのような人はただの1人もいませんでしたが…。それともテロ対策?いずれにしても過剰反応だったことは間違いないようです。 |
「いせ」の入港作業が終わったので、神戸大橋を渡って対岸にあるポートアイランドの岸壁に向かいます。 神戸大橋を歩きながら途中で「いせ」を撮影。ここからも素晴らしいアングルでの撮影ができるので、通行人が多い橋のど真ん中でしたが、撮影をしながら思わず歓声を挙げてしまいました(笑) ちょうど時間的にも通勤・通学の時間帯なので、神戸大橋を大勢のサラリーマンが通行していましたが、皆さん一様に巨大な軍艦が接岸している様子を見て驚いていました。中には携帯で「いせ」の姿を写真に収めている人もいました。 一般の通行人が驚き、思わず写真を撮ってしまうほど「いせ」の存在感は圧倒的でした。 |
この一枚も神戸大橋から撮影したものです。神戸大橋は海面かなりの高さがあり、「いせ」の飛行甲板とちょうど同じくらいの高さです。なので、このような地上からでは絶対に撮ることができない魅力的なアングルからの撮影が可能なのです。 今回私が超タイトなスケジュールでも遠征を強行したのも、この神戸大橋から素敵な画像を撮影できると考えたからです。 艦船模型のジオラマのような一枚ですが、それにしても「いせ」の大きいこと!「いせ」だけ縮尺が違う模型を置いたようです。 神戸ポートターミナルビルは国内最大の客船専用ターミナルなのですが、「いせ」の前ではご覧のように小さく見えます。それだけ「いせ」が大きいということでしょうね。 |
対岸のポートアイランドの岸壁から撮影した一枚。六甲の山並みと神戸市役所をはじめとする神戸市街のビル群を背景に「いせ」がとても輝いて見えます。通常、大型艦艇が接岸可能な岸壁は市街地から離れている場合が多いので、このようにビル群を背景にして艦艇を撮影できるのは新鮮な感覚を覚えます。ここ神戸と東京・晴海くらいでしょうか…? 先ほどから「いせ」の大きさに度々言及していますが、「ひゅうが」型に次ぐ次期DDH(22DDH)は「いせ」「ひゅうが」よりもふた回り以上大きな艦となります。一体どれだけ大きい艦になるのか想像がつきませんねぇ…。実際に22DDHを企画した海自の高級幹部によると「相当大きいから驚くなよ…」とのことでした(笑) |
振り返れば、東日本大震災の発生で日本が混乱に陥っていたさ中の昨年3月16日に「いせ」は就役し、その自衛艦旗授与式に私は出席した訳ですが、その後の約1年間で何度も撮影する機会に恵まれたばかりか、星山艦長の案内で艦内を隅々まで見学する幸運にも恵まれました。 長年艦艇マニアをやってて感じるのは、度々撮影の機会に恵まれる「縁のある艦」と、その逆の「縁のない艦」に分かれるということ。その意味では「いせ」は「とても縁のある艦」という事になります。ここまで縁がある「いせ」なので、私の次なる願いは地元・大分での艦艇イベントに「いせ」を誘致すること。現在、誘致活動を絶賛展開中です(笑) |
ポートターミナルとポートアイランドでの撮影を終え、次に向かったのは中突堤ターミナル。ここから神戸港を巡る遊覧船に乗り、「いせ」を海上から撮影するのです。神戸港の遊覧船は数社あるのですが、今回私が乗船するのは神戸ベイクルーズ社の遊覧船。この会社の遊覧船だけが神戸大橋をくぐってポートターミナルの沖まで行ってくれます。 遊覧船はご覧のような神戸らしい気品ある外観。その名も「ロイヤルプリンセス号」です。音響測定艦「ひびき」を彷彿とさせる双胴船ですが、見るからにトップヘビーです(苦笑) 神戸ベイクルーズは1日13便の運航、運賃は大人1000円です。 神戸にお越しの際はぜひご乗船を! |
「ロイヤルプリンセス号」は中突堤を出港、しばらくは港町・神戸らしい景色が楽しめます。神戸ポートタワーにホテルオークラ、そして特徴的な形のオリエンタルホテル、まるで絵葉書のような風景です。この場所、私と同年代、しかも子供の頃にウルトラマンが好きだった方にとっては、ウルトラセブンとキングジョーが闘った場所と言った方が分かりやすいと思います(笑) この遊覧船、このような神戸らしい港町の景色が楽しめるのはもちろんですが、もうひとつ他にはない特徴があるのです。そのため神戸を訪れた観光客だけでなく、私のような艦艇マニアの利用も多いのです。艦艇マニアが神戸港の遊覧船に乗る理由とは…? |
その理由とは、「神戸の特産品」とも言える潜水艦を間近に見ることができるからです。神戸港に隣接して国内で潜水艦を建造している二つの会社=川崎造船神戸工場と三菱重工神戸造船所があり、遊覧船はそれら造船所の間近を航行するのです。 まずは川崎造船。艦番号504は「そうりゅう」型4番艦の「けんりゅう」です。このあと3月中旬に就役予定で、退役する「はるしお」型4番艦「あらしお」に代わって呉に配備されます。艦番号と艦名が記された貴重なお姿です。 隣接する浮きドックには、同じ「そうりゅう」型潜水艦の「うんりゅう」が検査・修理のため入渠していました。 |
遊覧船は神戸造船を通り過ぎ三菱重工へ。そこにもX舵の潜水艦がいるではありませんか!船体に記された艦名は「ずいりゅう」。 来年3月の就役に向けて現在建造が進められている「そうりゅう」型5番艦「ずいりゅう」です。「ずいりゅう」は漢字で記すと「瑞龍」、帝国海軍の空母「瑞鶴」と「蒼龍」を合わせたような艦名です。かつて私はファミコンゲーム「提督の決断」をプレイした際に、架空の新型空母を「瑞龍」と名付けたことがあります。それだけに、この艦名にはとても親しみを感じます(笑) 三菱重工内には「そうりゅう」と思われる潜水艦が入渠していました。つまり、この時、神戸には就役中・建造中合わせて4隻の「そうりゅう」型潜水艦が勢揃いしていたことになります。 |
遊覧船は神戸港内を巡ったあと、神戸大橋をくぐってポートターミナルの沖へ。いよいよ「いせ」の海上撮影が始まります。 今回の遠征のキーワードともなっている神戸大橋ですが、神戸市街地(本州)と人工島・ポートアイランドを結ぶ橋で1970年に完成しました。2階建て構造の橋で、1階はポートアイランド方面、2階は三宮方面への道路となっていて、全長は319mです。並行してポートライナーの専用橋であるポートピア大橋も架かっています。これらの橋は、ポートタワーや神戸市役所庁舎と並んで神戸市の代表的なランドマークとなっています。橋の向こう側に接岸中の「いせ」が見えてきました。こんな風な見え方も神戸ならではと言えます。 |
遊覧船は「いせ」の超至近距離を通過します。海上から、そして超至近距離から見る「いせ」は迫力満点!思わず「すげぇ!!」と歓声を揚げてしまったほどです。 遊覧船には私のような艦艇マニア以外に修学旅行中と思しき中学生の団体が乗っていたのですが、海上自衛隊に全く関心がないであろうにも関わらず「いせ」を見て大喜びしていました。 中学生:「うわ~、でっかい戦艦!!」 言いたい事は分かりますが…「いせ」は戦艦ではありません(笑) この中学生の中から、きょう「いせ」を至近距離で見たことをきっかけに海自を志す人が現れることを切に望みます。少年たちよ国防の志を抱け!! |
遊覧船は「いせ」の側面に回り込みながらなおも接近。ここまで近づくと「いせ」が大き過ぎて、とても全身をフレーム内に収めることはできません…。「いせ」の全長は197m。この長さは帝国海軍の「蒼龍」「飛龍」(227m)には及びませんが、「龍襄」(180m)をはるかに上回っています。つまり「いせ」「ひゅうが」は帝国海軍の小型正規空母よりも大きいのです。 ちなみに22DDHは全長248mで、これは「蒼龍」「飛龍」を大きく上回り「翔鶴」「瑞鶴」(257m)に迫る勢いです。 時代や艦の性格を無視した単純な比較ですが、この数字だけを見ると、海自は立派な「海軍」になったと感じずにはいられません。 |
「いせ」の背後には一緒に入港した「さざなみ」がいます。 今回の寄港ではマニアの注目は「いせ」に集中しているため、「さざなみ」は全く注目されないのが少々不憫ではあります…。 間もなく新型DD「あきづき」が就役することから、「なみ」型は一世代前のDDとなりますが、その精悍かつ優雅なフォルムによってマニア人気が衰えることはないと思います。「なみ」型は全部で5隻が建造されましたが、「まきなみ」と「すずなみ」が大湊へ嫁いでしまったため、西日本に所在する「なみ」型は呉の「さざなみ」のみとなってしまいました。 という事もあり、「さざなみ」を撮影することも今回の遠征の目的でした。言い訳ぽく聞こえますが…。 |
遊覧船は「いせ」の艦尾付近で反転し、再び「いせ」の艦首を見ながら中突堤を目指して航行します。 帰りの方が行きよりも「いせ」に近い!!私はその大きさに圧倒されつつ夢中でシャッターを切ります。そして、先ほどの中学生たちはまたまた大喜び♪遊覧船のデッキ上は興奮のるつぼと化しました♪♪ この遊覧船は神戸の美しい港町の景色を楽しむためのもので、「いせ」の撮影は「目的外使用」なのですが、この日の遊覧船は「いせ」を見るために運航されているといっても過言ではないくらい、乗船客は皆「いせ」を見て大喜びしていました。 |
再び神戸大橋をくぐり遊覧船は中突堤へ向かいます。「いせ」から離れ見えなくなっても、「いせ」の大きさを至近距離から実感した興奮はしばらくの間収まりませんでした。ポートターミナル、神戸大橋、ポートアイランドそして遊覧船と、場所と手段を変えつつ「いせ」を撮影しまくった1日でした。あまりのしつこさに「いせ」は今ごろ苦笑いしていることでしょう(笑) 明日は一般公開。10月の呉での公開では大雨に降られて飛行甲板上の撮影が十分にできなかったので、明日の公開では飛行甲板を中心に「いせ」を見学しようと思います。良いお天気になりますように! |