ヨコスカサマーフェスタ2009


8/1に行われたヨコスカサマーフェスタに遠征しました。天気予報が見事にハズれて灼熱の晴天となりました。

去年は開門と同時に入場しましたが、今年は前夜の夜遊びが祟って寝坊してしまい、総監部には10時30分頃到着

総監部の敷地に入ってすぐ、入場者の長蛇の列ができていました。何じゃ、こりゃ〜。
並んで待っていると、退屈が我慢できず暴れ回る子供や、どさくさ紛れに順番を抜かして前に行こうとするジジイがいたりして、もう最悪!
あー、もっと早く来るんだった!!
この長蛇の列は、入場前に手荷物検査を待つ列でした。並びはじめてから約30分、ようやく検査場に辿り着きました。

銃砲やら刀剣やら火薬やら持ち込むような人がいるとは思えないのですが…。旗や垂れ幕…そういえば九州には艦艇が入港する岸壁で自衛艦旗や信号旗を掲げるマニア集団がいます(しかもかなりのご高齢)。そういう人たちはアウトなのですね(笑)

米海軍基地とも隣接しているので検査は仕方ないですね。ちなみに看板の横にいる幹部は、総監部防衛部長の内嶋一佐です。
手荷物検査を問題なく通過してようやく会場へ。

例年、総監部の建物前にある公開艦を知らせる掲示板が今年は見当たらないので急いで桟橋へ。そこにいたのは「しらせ」「むらさめ」「おおなみ」の3隻のみ。なんか微妙だ…。

公開艦が呉のフネだった去年よりはましですが、年一回のイベントでこれだけとは…。海自の艦艇不足を改めて実感しました。数年前までは桟橋を埋め尽くすようにフネがいて、満艦飾までして公開されていたこともあったのに…。海自、大丈夫か?
へこんでいても仕方がないので、さっそく「しらせ」に乗艦
このHPでは舞鶴で建造中の「しらせ」をずっと追いかけてきましたし、ほんの少しですが就役の準備に協力したこともあって、立派に成長した息子に会うような気持ちで乗艦しました。

私の前に並んでた人が、「え〜、『しらせ』って南極観測船じゃないのぉ〜。自衛隊の船なの〜?」みたいな事を言っていましたのでここではっきりとお知らせします。
「しらせ」は南極観測業務に従事している海上自衛隊の砕氷艦です。(南極観測船は俗称です。建造費は文科省予算)
乗艦してすぐに目に入ったのがこれ。南極の石です。

「しらせ」はまだ南極に行ったことがないので、おそらく旧「しらせ」が持ち帰ったものでしょうね。私たちが普段目にする火山岩系の石とは全く違う色と形です。なんだか神秘的です。

近くには南極の氷も展示されていて、見学者が氷に触って南極を体感していました。
「しらせ」の艦橋です。
幅広の船体いっぱいに艦橋構造物が設けられているので、ご覧のような広大なスペースです。護衛艦の3倍程度はありそうです。

中央に航海指揮官が立って操艦の様々な指示を出すのですが、よほどの大声を出さないと隅々まで指示が行き渡らないような広さです。

「しらせ」にとって闘う相手は南極の過酷な自然ですので、操艦を行うこの艦橋は、まさに敵と対峙する場所になるわけです。
「しらせ」の艦長席
赤一色のカバーは一等海佐の艦長のしるしです。

艦橋の右端にあるのですが、航海指揮官の立つ位置からは相当な距離があり、艦長も指示を出すのにかなりの大声を出す必要がありそうです(笑)

「しらせ」の艦長は、操艦の腕前が抜群なのは言うまでもなく、若い頃から何度も南極行を経験した、いわゆる「ペンギンファミリー」の中から選ばれます。
観測隊員の私室です。

ロッカーと一体となった机と椅子、二段ベット、ソファーがあります。ちょうど護衛艦の幹部私室とよく似た雰囲気です。観測隊長、副隊長には個室が用意されています。「しらせ」には観測隊員80人分の居住スペースが設けられています。

観測隊はかつては晴海出港時から乗り込んでいましたが、現在はオーストラリアのフリーマントルまで飛行機で移動し、そこから乗艦しています。
「しらせ」は就役して間がなく、いわゆる「南極観測船」ということで一番人気でした。多くの人が乗艦しては「大きいねぇ〜」と驚きの声を挙げていました。

確かに、こうして見るとかなり大きなフネであることが分かります。旧「しらせ」からは1000t程度大きくなっただけですが、トン数分以上大きくなったような印象を受けます。

「しらせ」は11月に南極への処女航海に出ます。今はそれに向けて猛訓練中ということです。頑張れ!「しらせ」!!
「しらせ」に続いて「むらさめ」「おおなみ」に乗艦しましたが、艦内に入れたのは「むらさめ」のみ。「おおなみ」は上甲板のみの見学です。さらに「むらさめ」も公開されたのは艦橋だけでした。

サマーフェスタに艦艇が3隻しかいない寂しい状況なのにこの有様。最低でも両艦ともに艦橋、機関室、科員食堂くらいは公開すべきではないでしょうか?
公開するには事前の準備が必要ですので、訓練等で忙しい艦側に余裕がないのかも知れませんが…。年に1回のイベントです、万難を排して取り組んでいただきたかったです。
こと艦艇に関しては寂しい限りの今年ですが、ご覧のように大勢の見学者が押し寄せていました。明らかに去年よりも人出が多いです。しかも家族連れが目立ちます。
海自への理解が高まっているのも要因でしょうが、ひとつには不況であまりお金がかからない海自のイベントが好まれているのではないでしょうか。ある意味で安・近・短のレジャーですからね。(私にとっては高くつくレジャーですが…)

乗艦待ちの列、売店に列、海軍カレーに列、トイレ行くにも列、なんか並んでばっかりの1日でした。(苦笑)
横須賀警備隊がある新井地区には、航空自衛隊の弾道ミサイル迎撃システム・PAC3が展示されていました。4月の飛翔体騒ぎで防衛省に設置されていたやつですね。

空自仕様の迷彩服を着た隊員さんもいましたが、さすがに4月に大きく報道されたとあって、多くの見学者が隊員さんの説明を聞き、質問をしていました。

空自と言えば真っ先に飛行機を連想しますが、ミサイルや飛行機を地上から迎撃する高射部隊も一大集団で、前空幕長の田母神氏もこの高射部隊の幹部でした。
新井地区の岸壁では多用途支援艦「えんしゅう」が公開されていました。ですから、正確には今年の公開艦艇は4隻ということになります。
「えんしゅう」は「ひうち」型の5番艦(最終艦)で、佐伯分遣隊の「げんかい」と同じ去年2月に就役しました。

マストには歓迎を意味する信号旗を掲げるなど、小さなフネが精一杯お客さんを歓迎している姿勢にとても好感を持ちました。
サマーフェスタ名物と言えばこれ。曳船による放水展示です。

YT67YT68が約5分間、赤と青の水を放ちながら海面を旋回します。放水展示と言うよりは、水を撒きながら踊っているといった様子でした。
曳船YTは、普段は艦艇の出入港支援を担当する裏方さんですが、この時ばかりはまさに主役、観衆を魅了するパフォーマーと化します。

それにしても、この踊っているような操船はお見事です!
こちらもサマーフェスタ名物で、かつ一番人気のゴムボート体験搭乗です。
先着順で整理券が配布されるのですが、私が手荷物検査終了後真っ先に駆けつけたところ(時刻にして1100頃)、整理券は残り3枚となっていました。まさにぎりぎりセーフで入手できました。

ちなみにこのゴムボートは、海中の機雷や爆発物を処分する水中処分隊が使用しているものです。
水中処分隊の隊員さんは海自にしては珍しくマッチョな方々で、しかも迷彩服を着ているのでまるで陸自の人みたいです。でもとても気さくで優しい方々でした。
ゴムボートは吉倉桟橋に停泊している艦艇の周囲を巡るのですが、ご覧のようにめちゃくちゃド迫力のアングルで撮影ができます。しかも時折、水中処分隊の隊員さんによるユーモアたっぷりの説明もあり、10分程度の短いクルージングですがとても楽しめます。券が入手できれば2度3度乗りたいくらいです。

私はこのゴムボートに乗るためにわざわざサマーフェスタに遠征していると言っても過言ではありません(笑)

普段は決して立つことができない位置からの撮影で、艦艇も一味違った表情を見せてくれます。
同じく、ゴムボートから見た海洋観測艦「にちなん」の艦尾。

一般人は乗艦厳禁のフネですので、普段は近づく機会もないのですが、ゴムボートでご覧のような至近距離まで近づきました。

後甲板に搭載している複雑極まりない観測用装備の細部がうかがえます。このアングルから見る「にちなん」はとても美しく、私のマニア心をわしづかみにしました。
ごちゃごちゃした装備品と美しい艦尾の曲線の対比が素敵です。
帰り際、グッズコーナーでお買い物をしました。

イベントのグッズコーナーに立つと、何かを買って帰らないとすごく損するような気持ちになるのは何故なんでしょうか?(笑)
朝から大勢の人が殺到していましたので、Tシャツなど人気の商品は売り切れが相次いでいました。

ちなみに私は、「きりしま」の識別帽佐官用(2500円)と、「しらせ」のTシャツ(2000円)を購入しました。

楽しかったのですが、海自の余裕のなさを心配せずにはいられなかった今年のサマーフェスタでした。