鹿児島港 体験航海&一般公開


7月11日(土)と12日(日)に行われた鹿児島港での艦艇イベントの模様をお送りします。
   まずは土砂降りと灼熱地獄に苦しめられた初日(11日)です。               
0720頃、鹿児島港(谷山港)に到着。

前日から港の沖合いに停泊していた「くらま」は、0820から入港を始めました。ところが、入港直前からスコールのような猛烈な雨が降り始めました!!
雨の準備を全くしていなかったので途方に暮れていたところ、港で客待ちをしていたタクシーの運転手さんが傘を貸してくれました。ラッキー!!傘をさしながらの不自由な撮影でしたが、何とか土砂降りの中でも「くらま」の入港を撮影することができました。
入港開始から約15分後の0835、「くらま」は180度向きを変え、曳船に押されながら接岸を始めました。
さすがにDDHとあって、岸壁に近づくにつれてその大きさと迫力はかなりのものです。この角度から見ると、背負い式に配置された主砲がとても美しいですね。まさに「軍艦の造形美」です。

この頃になると雨はやや小康状態になりました。傘をたたむと再び強く降ったりして、結局ずぶ濡れになりました…。
「くらま」の艦橋ウイング部では、艦長の柏原一佐が操艦をしながら入港の指揮を執っています。赤い双眼鏡ストラップがとてもカッコいいです!柏原一佐は去年10月から「くらま」の艦長を務めており、その前は第4護衛隊群の首席幕僚でした。

後ろの黄色いストラップを付けた将官は、第2護衛隊群司令の野口海将補です。入港作業にあたる「くらま」乗組員の動きに目を光らせていました。
0850頃には「ちょうかい」が入港して来ました。「くらま」同様、曳船によって180度向きを変えます。

海自艦艇が地方の港に入港する場合は、民間業者の曳船を利用するのですが、2隻の入港で約50万円の費用がかかるということです。3隻の入港では金額がさらに跳ね上がる為、予算節減により鹿児島地方協力本部は「くらま」と「ちょうかい」の2隻の入港にとどめました。「あしがら」は翌日の早朝に「ちょうかい」と入れ替えるとのことでした。
曳船が「ちょうかい」を押しながら「くらま」に接舷させます。
考えてみれば、巨大な鋼鉄のフネ同士をぶつけることなく上手に並べる訳ですから、艦長の操艦技術たるやお見事です!

帝国海軍そして海自も、出入港時は艦長が操艦にあたります。出入港時こそが艦艇が最も事故を起こしやすい魔の時間帯だからです。
0915頃「ちょうかい」の入港作業も終了。

「くらま」と「ちょうかい」が並ぶ豪華な構図です。
「くらま」はDDHでかなりの大型艦なのですが、イージス艦である「ちょうかい」の隣だとかなり小さく感じますね。クラシックな雰囲気が漂う昭和の名艦「くらま」と平成のイージス艦、とても素敵な組み合わせではないでしょうか。
この頃には、埠頭周辺に大勢のマニアが駆け付けていました。既に雨は止んでいましたが、皆さんずぶ濡れでした…。
入港後、0940より歓迎式典が行われました。

手前の列の先頭は第2護衛隊群司令の野口海将補、その後ろに第6護衛隊司令・小野寺一佐、「くらま」艦長・柏原一佐、「ちょうかい」艦長・岩澤一佐が並んでいます。
隣の列には「くらま」と「ちょうかい」の副長や先任士官がいます。「くらま」の副長は胸にウイングマークを付けたパイロット(飛行長兼務)でした。
群司令、司令、各艦長に花束の贈呈。
鹿児島らしい南国の花々による美しい花束ですね。
このあと挨拶に立った野口群司令は、「イベントを通して海上自衛隊の活動に理解を深めてください」と呼びかけていました。

足元の水たまりに注目!直前まで土砂降りだったことがお分かりいただけると思います。
約15分間で式典は終了。

式典後、鹿児島地方協力本部の隊員や父兄会、OB会の方々に挨拶していた野口群司令ですが、私の方にも歩み寄って来て「どうもお疲れ様です!」と言いながら敬礼をするではありませんか!(何と恐れ多いことでしょう…)
もしかして群司令は当HPの愛読者で、私が管理人だと分かったのでしょうか?(あり得ないですね) 恐らく取材の新聞記者と思ったのでしょうね。ご覧のとおり、とても笑顔が素敵な群司令です。
1230頃「九州海自応援同盟」のASA-P氏・熊本艦隊氏と合流。

体験航海の乗艦券をハズしまくった私とASA-P氏でしたが、熊本艦隊氏が自分の分以外に「あしがら」の乗艦券を持っていることが判明。さらに私とASA‐P氏どちらが乗艦するか協議していたら、通りがかりのご婦人が「券余ってますよ」と言いながら「ちょうかい」の乗艦券を差し出し去って行きました。
まさに奇跡、まさに地獄から天国。私とASA-P氏は現地で乗艦券を入手してしまったのです。
ご婦人はあっという間に去って行ったので十分にお礼を言うことができませんでした。この場で改めて御礼申し上げます。
私は「あしがら」の出入港を撮影したかったので、「ちょうかい」に乗艦することにしました。

熊本艦隊氏とともに乗艦すると、ちょうど1日艦長の委嘱式が行われていました。岩澤艦長が委嘱状と艦長用の識別帽を手渡しました。
1日艦長を務めるのは今年自衛隊を受験した地元の女子高生だそうです。もちろん海を受験したんだと思います。(まさか陸自志望なんてことはないですよね…)
1日艦長を囲んでの記念撮影。
とても和やかないい雰囲気です。この場には副長以下主要な幹部が揃っていたのですが皆さん和気あいあい、さらに海曹の方々も艦長に対し敬意を払いつつもガチガチに固まっている様子ではありませんでした。岩澤艦長はとてもいい雰囲気で艦を統率していると感じました。こういうフネは戦技で見事なチームワークを発揮します。

ちなみに、私はこのHPで再三再四「1日艦長をしたい」と訴えているのですが、未だに声がかかりません(笑)
1400、「ちょうかい」は約1時間の鹿児島湾クルーズに出港。
接舷していた「くらま」からゆっくりと離れて行きました。「くらま」をいいカンジで海撮りすることができました!

『出港用意!』の号令も1日艦長の女子高生がかけていました。ああ、羨ましい…。
朝の土砂降りが嘘のように晴れわたり、「ちょうかい」の甲板上はフライパン状態、灼熱地獄でした。ですから大勢の乗艦者は科員食堂などの艦内で過ごしていました。(体験航海の意味がないような…苦笑)
体験航海中、私はずっと「ちょうかい」の後甲板上にいたのですが、あまりに暑いので、少しの間、艦内を探検してみました。「ちょうかい」は5月の門司での一般公開で、艦内を色々と撮影したのですが、今回は珍しい場所が公開されていました。

理髪室
です。
部屋の入り口には床屋さんにある回転灯も備え付けられています。理髪室があるからといって専門の床屋さんが乗艦している訳ではありません。趣味(?)で散髪の腕を磨いた乗組員が切ってくれます。
約1時間の体験航海を終了し、1500に「ちょうかい」は再び「くらま」に接舷しました。

接舷したとはいえ700人もの乗艦者がいたので、艦を降りるのに30分近くかかりました。
舷梯では、岩澤艦長が乗艦者ひとりひとりに敬礼して見送りをしていました。とても立派です。このような艦長に率いられる「ちょうかい」の乗組員は船乗りとして幸せ者だと思います。
「ちょうかい」退艦後、再びASA‐P氏、熊本艦隊氏と合流。埠頭の片隅で本日の戦果を確認し合いました。

3人ともその夜は鹿児島で一泊ということだったので、市内で夜の部を敢行することになりました(笑)

土砂降りと灼熱地獄に苦しみながらも、乗艦券が突然手に入るという奇跡まで起きた谷山埠頭。2日目はどのような戦果が挙がるのでしょうか…。

梅雨明けした美しい鹿児島湾を「あしがら」が華麗に航行した2日目へ