細島港 「ひゅうが」お国入り公開


3月に就役した新型DDH「ひゅうが」が宮崎県日向市の細島港に入港し公開されました。
マニアのみならず、大勢の老若男女の市民で賑わった公開の模様をご紹介します。
大分市内から車を飛ばして2時間半、0800に細島港に到着。

「ひゅうが」は14号岸壁と呼ばれる水深が深い国際貿易用の岸壁に接岸しているのですが、付近には駐車場がないため、見学者は1号岸壁の周囲に設けられた駐車場に車を停め、シャトルバスで移動です。

公開1時間前だというのに、駐車場には既にたくさんの人が詰め掛けていました。
約5分で14号岸壁に到着。
「ひゅうが」がその巨体を横たえていました。
バスの車窓から「ひゅうが」が見えてくると車内は大興奮!子供やおじさんまでもが「大きい!」「すごーい!」の大合唱でした。

ちなみに私は「あれっ、この程度の大きさだったけ?」という印象でした。去年、艤装中の「ひゅうが」を見ているのと、同じ排水量1万3500トンの「ましゅう」型補給艦の大きさを想像していたためです。(「ましゅう」は同じ排水量でも積載量が多いので、船体は「ひゅうが」より遥かに大きいのです)
岸壁では「ひゅうが」の幹部が、見学の際の注意事項や見学ルートのほか、「ひゅうが」の概要を分かりやすく説明してくれました。

「ひゅうが」の艦型については『本艦は主砲を持たない変わった形の護衛艦です』と説明し、決して「空母の形をした」とは言いませんでした(笑)。そう、「ひゅうが」はあくまで護衛艦なのです。

ちなみにこの幹部は管制長という配置で、胸には航空管制徽章が輝いていました。管制官が艦船に乗っているのには驚きました。やはり「ひゅうが」は特殊なフネです。
公開30分前の0830頃には公開を待つ長蛇の列が出来上がっていました。雨がぱらつき始めたこともあってか、予定より10分早い0850から乗艦が始まりました。

乗艦は舷門からではなく、直接格納庫へ通じる入口からでした。乗艦中の人がとても小さく見えます。「ひゅうが」の船体がいかに大きいかがお分かりになると思います。
ちなみに一番乗りは、鹿児島で爆裂級の逸話を披露してくれたM.Hさんでした。(苦笑)
艦内に足を踏み入れるとそこは格納庫

広い!しかも天井が高い!まさに空母の格納庫です。無理して詰め込めばヘリを20機くらい搭載できそうです。
「蒼龍」や「瑞鶴」などの帝国海軍の空母の格納庫もこんな雰囲気だったんでしょうか?この格納庫を見て映画「トラ・トラ・トラ」「太平洋の嵐」での格納庫シーンを思い出しました。

格納庫ではヘリが展示されていたほか、飲物やグッズの販売コーナーが設けられていました。
見学者は前方エレベーターで飛行甲板に上がります。

エレベーターが上昇していく様子はまさに戦争映画のワンシーンそのもの。やっぱ「ひゅうが」は空母だわ…(笑)

エレベーターが上昇を始めると、格納庫内は「おおっ!」というどよめきに包まれました。乗っている人も下から見ている人も興味津々といった感じでした。
エレベーター床面の厚さに注目!すごくゴツいです。
私もエレベーターに乗って飛行甲板へ。

写真はちょうど半分ぐらい上昇したところ。
この位置から格納庫を見下ろすのは気持ちいいです。まさに空母でなければ見ることができない光景。やっぱ「ひゅうが」は空母だわ…(笑笑)
ちなみにエレベーターに乗っている子供は大喜び。「ひゅうが」が何なのか分かっていないであろうお母さんたちも大喜び。もちろん、私をはじめとするマニアたちも大喜び
エレベーターが上昇を完了。すぐ目の前に艦橋構造物がそびえ立っていました。
艦橋構造物は5階建てで、飛行甲板から4階部分の艦橋まではあまり高さを感じませんでした。幅もありませんので艦橋内はかなり狭いのではないかと予想されます。

艦橋の窓の上に設置されている8角形のアンテナは、「ひゅうが」で初めて装備されたFCS-3レーダーです。なんだか額に絆創膏を貼ったために辞任に追い込まれた某農林水産大臣を思い出しました…(笑)
飛行甲板前部から艦橋構造物と艦尾方向を望んだシーン。広い飛行甲板の端っこにちょこんと艦橋構造物が立つ様子は、まさに大海原に浮かぶ小島のようです。艦橋構造物が「アイランド」と呼ばれる理由がよく分かります。

それにしてもFCS-3レーダーは、おでこの絆創膏にしか見えませんね(笑)。しかしながらこのレーダー、対空・対水上捜索機能とミサイル誘導機能を兼ね備えた多機能レーダーで、かなりの優れものということです。
降下状態のエレベーターを飛行甲板上から見下ろすとこんな感じです。かなりの高さがあることが分かります。落下したら大ケガどころか死亡する恐れさえあります。乗組員の皆様、くれくれもご注意を!

エレベーターが降下中は落下防止用の柵が甲板からせり上がってきます。柵というよりは鉄の支柱にロープが一本張ってあるだけのものですが…。これでも落下防止には十分な効果がありそうです。画像に写っている緑色のネットはイベント用に設置しているもので、通常はこのようなネットはありません。
艦橋構造物を斜め後ろから見た様子。こうして見ると構造物における艦橋部分はわずかなスペースであることが分かります。

艦橋の後ろには巨大な煙突がそびえていますが、考えてみれば「ひゅうが」はDDH初のガスタービン推進艦です。「ひゅうが」は「こんごう」型と同じ主機LM2500を4基搭載してのCOGAG方式のガスタービン機関となっており、最大出力100000馬力で最高速力30ノットを叩き出します。欧州の軽空母の最高速力が22〜28ノットであることを考えると、「ひゅうが」はかなりの俊足です。
私が「ひゅうが」で空母らしさを最も感じた場所がこれ。発着艦の際に飛行作業員が退避するキャットウォークです。

「ひゅうが」ではヘリの発着艦は、飛行甲板上の左舷寄りの位置で行うことになっているので、キャットウォークも左舷側のみに設けられています。キャットウォーク内には、ヘリへの給油用設備や消化用設備も備え付けられており、飛行作業の指揮所の役割も果たします。
甲板上には、こんな変わった形の車両が展示されていました。
艦載救難作業車という名称です。
消火器を大量に積んでいるのと、ホースや放水用のノズルが付いていることから察するに空母用消防車のようです。

従来のDDHには積まれていない装備品だけに、大勢のマニアが車両を取り囲んでおりました。私がこの車両の前にたどり着いた時には、運転席にあのM.Hさんが座っており、子供のように大喜びしていました…おいおい(苦笑)
「ひゅうが」の艦橋です。
艦橋は特別公開という形で公開されたのですが、1時間半から2時間程度の待ち時間が発生しました。私は割と最初の方で並んでいたので、50分程度の待ちで艦橋に上がることができました。

予想通り、あまり広くありませんでした。
だた、就役直後とあって内部はピッカピカです。電子海図装置など最新の航海用機器を備えているほか、艦長席や司令席の頭上には様々な情報を表示するためのモニターが多数設置されています。
艦長席です。
「ひゅうが」の初代艦長は山田勝規一佐です。一佐の艦長なので席には赤色のカバーが掛けられています。
このような大型艦を指揮する艦長の気分はどんなものなんでしょうね?この席に座って「出港用意!!」と叫んでみたい…。

ちなみに、一般公開で必ずと言っていいほどいるのが艦長席に長時間座って悦に入っているオッサン。で、そのオッサンは十中八九、案内役の隊員にこう質問します。
「このフネと戦艦大和が戦ったらどっちが勝つ?」
艦橋の左舷方向を見たところ。
奥には黄色いカバーが付けられた群司令の席があります。手前の大きなモニターは航海用水上レーダー、その横に操舵輪が見えます。

群司令はこの2日前、「こんごう」に座乗して大在埠頭に入港、歓迎式典に出席していました。ということは、翌日に群司令以下司令部の方々は丸ごと大分市から日向市へ移動した訳ですね。ご苦労さまです。
艦橋の右舷ウイング部から艦首方向を眺めるとこんなカンジです。まさに空母しちゃってます
見学者がとても小さく見えます。飛行甲板の広大さがお分かりになると思います。

甲板上に白い斑点のようなものが見えますが、ヘリコプター係留用のタイダウン・ホールです。
この頃には雨が小降りになっており見学者は傘をさしていませんが、直前までかなりの雨が降っていたので、甲板上は水浸しになっています。
艦橋の左舷ウイングから艦尾方向を見たところ。

帝国海軍を扱った映画で、司令長官らが艦橋から帽振れをしながら攻撃隊の発艦を見送るシーンがありますが、左舷のウイングは、その司令長官の立っていた位置に相当する場所です。思わず「諸君の健闘を祈る!」とか「攻撃隊発艦準備急げ!」とか叫びそうになりました(笑)

甲板上の長蛇の列は艦橋公開の順番待ちの列です。皆さん、雨が降る中で根気強く待ち続けていました。
艦橋構造物内の通路です。
艦橋の1階下の区画です。ご覧のとおり通路がとても狭いのに加えて、壁面が艦橋構造物の形に合わせて傾斜しています。とても通りにくそうです。艦橋に昇るための梯子も小型護衛艦並みの狭さでした。

「ひゅうが」は海自最大級のフネで、艦内の通路や部屋は従来のフネより広く造られているようですが、艦橋構造物内についてはスペースが限られている分、例外的に余裕のない造りになっているようです。
艦橋構造物を艦尾方向から見たところ。
後ろも前部に良く似た形をしていますが、ここには航空管制室が設けられています。航空管制室も見たかったのですが残念ながら公開されていませんでした。

従来のDDHでは飛行長がヘリの管制(というか誘導)を行っていましたが、「ひゅうが」では航空管制の国家資格を持った専門の管制官が乗艦しています。管制長という他の艦にはない配置もあります。(写真3枚目の幹部)
後部エレベーターで格納庫へ降りると、ちょうど目の前にグッズ販売コーナーが設けられていました。「ひゅうが」さん、商売がお上手です!

定番の識別帽やTシャツのほか、バスタオル、マグカップ、ジッポ、ネックストラップなど豊富な品揃えでした。
ちなみに私はTシャツ(1500円)とストラップ(1500円)を購入しました。フェニックスをあしらった部隊マークがなかなかカッコいいです。識別帽も買っておけばよかったなぁ…。
格納庫で飲物を売っていた隊員さんがとても素敵な法被を着ていたので撮影させていただきました。

「ひゅうが」(日向)は日に向かうと書くことから、周囲を赤く染めながら力強く昇る太陽が描かれています。この法被がめちゃくちゃ欲しくなりましたが、残念ながら売っていませんでした(笑)

この気さくな隊員さんも、普段は「ひゅうが」の優れた能力を発揮すべく訓練に励んでいるのでしょうね。頑張ってください!!

新型護衛艦「ひゅうが」、とても興味深いフネでした!乗組員の皆様、お世話になりました。